原子力発電による国の自立

2011年の東日本大震災による津波の影響で福島第一原子力発電所の1~4号機が電源喪失。メルトダウンや水蒸気爆発で周辺の陸と海に多大な放射性物質を撒き散らした。
この事故を契機に、(外国の反応は様々だが)日本では原発に対する反対論が噴出した。

この中にあって原発推進派の意見は取り上げられにくいのだろうが、であるからこそ、なぜこれほどに原発を増やしていったかについて、冷静に考えておく必要がある。
自分はもはや原発反対派であるが、この「増やした理由」を勘案すると、非常に複雑である。

利権や地方財政の救済など、様々な理由は有ったにせよ、原発の一番の大儀は「日本の自立」だったはず。
日本が高度成長を遂げるには膨大なエネルギーを要するが、これを賄うには原油を輸入するしかなく、それは即ち中近東と米国の関係に右往左往することを意味する。
度重なる米国の横暴や基地問題、これらに抗うどころかイラク戦争肯定など、卑屈な外交を続けなければならない必要性はここにある。
こうなるのは50年前から分かっていた事で、それを打破する切り札として日本は原子力発電に傾倒した。
そして日本は豊かになった。
自動車・家電・ロボットなどで小さな島国とは思えないような商品力を展開した。それよりも特筆したいのは、驚異的に停電の少ない国となったことだ。

ところが誤算は高速増殖炉「もんじゅ」が成功していない事だ。成功しないまま廃炉が検討されている。
「もんじゅ」は原型炉であるが、商用炉が完成すれば日本はもうエネルギーを輸入する必要は無くなる。
そしてその時こそ、正論を口にする事ができる国になる、はずであった。

しかし今となってはもう軽水炉を増やすことも無ければ高速増殖炉を開発することも無いだろう。
再生可能エネルギー発電が安定供給に至るまで、昭和中期のように化石燃料を燃やし続ける事となる。
だが中東はイスラム原理主義に向かっており、更に米国追従を余儀なくされる。
そして世界の原油争奪戦は激しくなり、原油の枯渇は早まる。

これを踏まえ、政府は地熱発電開発やメタンハイドレートの発掘に本腰を入れてほしい。
いかに急を要するか、国民が声を大にしなければいけない。

投稿日: 2012/01/25 | カテゴリー: 03.政治 | パーマリンク コメントする.

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