タイトルは付いて来る

作品を企画する者にとって「タイトル」は、自分の子の名前のようにいとおしい。
ましてその作品の人気が高いとなると、なおさら意気込みたくなる。

米国駐在で初めて手掛けたバスケットボールゲームの受けは上々だった。
これにタイトルを付ける段になったのだが、ディレクターの俺はカッコイイ名前を提案したのに対し、米国人デザイナーM氏が提案したのはなんと「DOUBLE DRIBBLE」。
ご存知、バスケットボールに於ける規則違反の名称だ。
俺はM氏がふざけているのかと思ったが、彼には彼なりの理由が有った。「2人でプレイするバスケットボールゲームだから」「Dで始まる音が力強く韻を踏んでいて良い」「反則名でインパクトが有る」。
しかし、俺の案が通らなくなるし、いや、まあ、それは、いいのだが…、いや、やはり、イヤだ…、とにかく、規則違反の名称をタイトルにするのは抵抗が有った。
すると、M氏は(米国の)社内でアンケートを採ろうと言うので、やってみた。
結果は「DOUBLE DRIBBLE」の圧勝。
ネーミングの頃は違和感が有ったが、いざヒットしてしまうと、しっくり来る。

場合によって、ネーミングが大事である事は知っている。ネーミングに一所懸命になる御仁には失礼かも知れないが、作品さえ良ければ(インカムさえ高ければ)タイトルは後ろから付いて来る。

俺が本社の反対を抑えて「DOUBLE DRIBBLE」を採用した真の理由は、マーキー(筐体の上に掲げるタイトルデザイン)や販促チラシを手掛けるM氏の意気込みを高める為と、アンケートでこれに投票した米国人営業マン達の士気を高めたかったから。

投稿日: 2012/09/25 | カテゴリー: 04.仕事場 | パーマリンク コメントする.

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